「上信越道 岩塊撤去工事(北牧野)と災害復旧事業)」の現場見学会

こんにちは!
今回は、「上信越道 岩塊撤去工事(北牧野)と災害復旧事業)」の現場見学会に参加し大規模なリニューアル工事を学んできましたのでご報告します。
参加者のコメントも掲載しておりますので、どうぞ最後までご覧ください。
現場見学会
1 NEXCO東日本 上信越道北野牧工事


1)工期:2023年2月9日~2029年4月7日
2)施工者:大林組
3)主要工事数量 掘削工:94,802m3
4)作業状況
山頂795m→仕上げ734m 見学時765m(約30m掘削) 累計掘削土量約46,000m3(約49%)
足場16段解体済み(残り19段/34段)
掘削機械 クローラドリル×3、割岩機×2、ブレーカー×2、バックホウ×3、運搬車×1
運搬 ダンプトラック(10t) 60台/日(3.8t/台) インクライン 30往復/日
1996年に北海道で発生したトンネル岩盤の崩落事故を受け、東日本高速道路(株)が調査を行ったところ北ノ牧トンネル直上の崖に同リスクが認められたため、工事が開始された。
この崖には開口亀裂・変成脈・自破壊状溶岩層がいくつか存在し、崩落の危険がある岩塊をくさびブロックとして扱っている。
岩塊除去工事は、振動による落石を防止するため振動が少ないクローラドリルを使用し掘削を行う。
落石対策工として、岩塊表面にはロックボルトと金網の施工がされており、落石防護工として岩塊に防護柵(足場兼用)とトンネル出入口にはロックシェッドが施工されている。
高速道路上に落石を発生させないための対策がいくつも実施され、確実な施工がなされている。工事は2028年12月までを予定している。
見学会に参加しての感想

着工までの周到な準備(施工計画)と工事規模の大きさ及び先進的な安全管理(重機との接触防止を目的とした自社開発のAI監視カメラ使用)が行われていることが印象に残る現場であった。
また、当該現場は高速道路会社が実施しているメンテナンス事業をPRするため、見学者向け設備が充実しており、発注者と施工者(大林組とその協力会社)の対応も他の現場と比べて極めて親切なものであった。
なお、今回の見学では多くの時間が割かれなかったが、当該工事の調査・設計・モニタリングには地質コンサルト(応用地質が実施)が大きな役割を果たしており、今後の業務への取り組みの参考となった。

作業現場内には、あらゆる場所に安全を守るための呼びかけ・チェック用のポスターが多く掲示され、足場階段には、退避するための踊り場や踏み外しを防止する為のライトが設けられていた。
また、足元や手すりの単管が飛び出しているなどの、ぶつかり・転倒の可能性がある危険個所には目立つようにテープが巻かれており、事故防止の安全対策が徹底されていた。工事の計画や状況を説明する際には、三次元モデルやアニメーション等を利用して、視覚で情報を理解しやすく、誰にでもわかるようにしていた。
ボーリングの現場において、ボーリング足場や仮囲いなどの飛び出た単管にテープを巻いて目立たせる方法を活用していきたい。
2 令和元年災害復旧助成事業千曲川上流工区((一)滑津川・佐久市石神)

1)事業期間:令和元年(2019年)度~令和5年(2023年)度
2)主な事業内容:堤防かさ上げ 全体延長1.05km
3)事業進捗率:進捗率100%(令和6年(2024年)3月完成)
千曲川支流である滑津川は、上流と下流の高低差が大きいために元々洪水が起こりやすい川である。
佐久市の石神地区では令和元年台風により、二箇所で堤防の決壊が発生した。
現場付近の滑津川はS字に流れている。破堤はカーブの外側でおこり、大雨による水量の増加とカーブによる流速の増加・水位の上昇が原因と推定されている。
また、氾濫した水により内側からの破堤が発生した。
災害復旧工事として、カーブとその先の直線において築堤工を行い、既設堤防のかさ上げが行われた。


見学会に参加しての感想

当概現場大雨があった場合には大河川(千曲川)との合流点付近であることや攻撃斜面であることからもともと災害リスクの高い場所であったことが理解できた。地球温暖化に伴う近年の異常気象激甚化・頻発化を受けて、地質コンサルタントは自らの得意分野である地形・地質を解析する能力を生かして災害発生リスク予測できるようになることが必要であると感じた。
また、事業の性格(災害復旧事業)のため、今回の復旧工事(被災区間の堤防かさ上げ)は対処療法的であり、抜本的には用地の問題もあるが、河川の線形自体を改良(曲線の緩和)する必要もあるのではないかと感じた。

河川における豪雨災害対策の必要性を強く感じた。
このような業務に従事する際は、温暖化が進む現在、さらに短時間降水量が増加することが考えられるため、現状では、災害が発生していない河川でも災害の発生リスクを十分にはらんでいる。
そのため、観測史上にない災害が発生する可能性を念頭に置きつつ、その現場において適切に対応する必要があると感じた。